健全なる市民は来るべき経済的・政治的そして軍事的大混乱に身がまえるべきだ。
■欧州■
欧州の債務問題という火遊びはついにイタリアに波及した。
だましだましなんとか取り繕ろおうとして破綻したギリシャに対して、フランスとドイツも全く同じことをしているのすぎない。
違いは隠れてやったか大っぴらに報道されているかである。
民間銀行にギリシャ債務の一部を強制的に負担させたために、イタリア債務までそのようにされないうちに我先の換金売りが始まったという事であろう。
自国銀行を潰したくないがための一心で、一部負担を思いついたのであろうがそのことによってリーマンショックで本来ならばつぶすべきだったCDC市場を今になって最も悪いタイミングで無価値なものかもしれない事を示してしまった。
ECBは一体どこまで買い支えるのか?
すでにECBの崩壊も始まったのかもしれない。
ギリシャ救済という動きの中で、出た答えは救済されたギリシャではなく、EUシステムの崩壊の始まりであった。
それにしても「Too Big To Fail」とはなんという戯言であろうか。
大きすぎたらつぶせないのであれば誰もこじんまりとコントロールの効く組織に改編などすまい。
イタリアが大きすぎるのあれば、潰せない訳であるから、じりじりと破綻までの道をできるだけゆっくりと進むしか手はないことになる。
その呪文を唱えるだけで税金を無尽蔵に投入する事が許されるようになったわけで、政府から見ても都合のよい呪文となった。
真実は「大きすぎるようになる前に潰す」であろう。
それに比べて「大きすぎて潰せない」は「潰されないように大きくて手遅れになるまで待つ」事につながっている。
つまり上塗りによる隠蔽が推奨される事になる。
■米国■
来年の大統領選挙に向けて本来であれば景気回復の為の政策にまい進すべき時にある。
オバマ政権はそのことが困難であると判るとあろうことか、またもや軍事紛争によって国民の目をくらまそうともくろんでいる。
このようなすでに効果が無くなった戦略、そして何よりもオバマ自身がそこから抜け出そうと言って当選した戦略、を採用するとはこの政権は”うそつき”である以上に”人間性に欠陥がある”と思われて致し方ない。
オサマビンラーディン殺害の名目で核兵器を保有する他国のパキスタン領土に土足で踏み込んだことにより、彼はブッシュもなしえなかった「米国が思えば正義など以下ようにも捻じ曲げて、いかなる法も超越した行為を平気で行える」というパンドラの箱を開けてしまった。
そして最も馬鹿げたことは、たぶんオバマはそのことを意識していない。
大義のないイスラエルと組みイラクから撤収した米兵を、再びイランの死地に向けるのであるとすれば、米国ももはやかつての存在価値は失ったことになる。
核兵器保有さえ認めない核兵器保有国のイスラエルが核兵器保有を目指さないというイランを攻撃するなど、力が正義であることへの信仰以外の何ものでもない。
そうであるならば民主主義とはなんとご都合主義であることよ。
このような米国の無法な行為が続くのであれば、その恐怖を感じる全ての国々が核武装の誘惑に囚われることになるのは当然の結果であろう。
米国の法と道徳に対する火遊びは多くの国で混乱の引き金になる。 法と道徳の混乱は全ての混乱を意味する。
■中国■
「何事も初期の段階はうまく行くものであり、状況が成熟してくれば来るほど物事は簡単ではなくなる。」という事を中国が認識していることを願う。
もし中国が今の成果を彼らの優越性の証左だと見誤ればアジアは極めて危険な場所になる。
2020年までには空母も潜水艦もステルス爆撃機も巡航ミサイルも衛星兵器も全て実戦配備されるはずであろう。
そうなれば米国はもはや西太平洋での制空権も制海権も中国に渡すしか選択は無くなる。
ひょっとするとグアムも放棄し第2次大戦の前まで、ハワイまで撤収するかもしれない。
東南アジア諸国は中国が支配下に置かれるまでいかず、大きな影響下に置かれる事で良しとしなくてはならないであろう。
中国の優越感を背景にした火遊びアジアに大きな厄災をもたらす。
■日本■
その中で日本は最悪のポジションにある。
この国の文化では核武装しても結局はそれをうまく利用した交渉などできないため、自爆するのが落ちであろう。
そうであるならば、唯一の可能性は技術・経済で再立国しアジアと世界からの尊敬を再び得るしかない。
しかしながら、世界最大の原子力発電所事故による被曝においてもなんら問題の認識も反省もましてや国民の危機回避も行わない国家はすでに国家とは言えないかもしれない。
民主党政権も3人目の総理大臣になり、それまでの2人が少なくとも持っていた何らかの理念も持たない人間によって崩壊の道を急いでいる。
非常に残念なことではあるが市民運動さえ起こらない日本の国民は何事でも受け入れるのであろう。
中国が尖閣列島をほしいと言えば差し上げると言い、白人の前に行くと頭をなでてもらうために何でも約束し、自分が理解しえない質問に回答する為に小賢しい役人の言いなりになる内閣を持ってもなお、小さな自分のしあわせの為には正義も道徳も家族も簡単に捨て去ることのできる国民にとっては、ご主人さまが「米国から中国に代わる」事は何の問題にもならない。
まして、放射能を浴びて癌になるくらいは運が無かったと諦めればいいだけである。
ワールドカップのサッカーの予選の為に、日本人を大量に拉致している北朝鮮に試合に行き、ましてやファンを出国させるなど、日本人は同胞さえも平気で見殺しにするという証明である。
そのようなもの達が日の丸を振って日本チームを応援しそれを政府もマスコミを褒めそやすなど、これ以上の茶番があろうか。
人間の尊厳や正義の概念のある国家であればそのような事は起こらないであろう。
・皆が同じよう被害に合う事、
・他人を押しのけても自分だけ幸せになることがができる事、
・誰かが言った事に全員が賛成すること、
・そして同じように行動できない人間を非難する事、
これらが日本人のいう平等である。
人生を理性的に考えようとすることを単純であると非難し、物を深く考えないことを万物に理解がおよぶ知性であると思う事で全ての事が「あるがまま」、あるいは「なされるまま」であると信じるのである。
皆で理由なく死ぬことが怖くない日本人はヒツジにも戦士にもテロリストにもある日突然なれるのである。
10年後の日本人が「単純な米国人より、東洋文化が理解できる中国人がご主人さまになって良かった」と言っている図式は簡単に想像できる。
民主党野田政権の「日本から去りつつある米国への、盲目的こびへつらい」と「自己中心的発想を無意味な言葉で国家のためと取り繕うことしかできない役人と大企業家」を頼りにしてリーダーのふりをする火遊びは、日本にとって最も大切な他国からの尊敬を今以上の深みまで貶めるであろう。
民主党よ去れ!、野田内閣よ去れ!、もちろん自民党も去れ!
日本に健全な市民が住んでいることを思い出させる人物よ出でよ。
■世界■
戦後60有余年、冷戦・ベトナム戦争・中東戦争・朝鮮戦争多くの紛争はあったが米国の覇権と正義が信じられる世界であった。
しかし、その中心に位置した米国の正義が今や風前のともしびとなっている。
2008年に新たな覇権国を目指す中国において国威発揚のための北京オリンピックが開催され、そして同じ2008年に欧米の金融システムのほころびが初めて公になった。欧米の金融システムはその貪欲さと不正義を隠しおおせなくなったが、北京オリンピックの偽の花火の不正義が問題にならなかったのは、覇権国が後退しつつある証拠となった。
平和と貪欲と自己中心主義に陥った覇権国とその取り巻き国家の為政者にとって10年程度の短期間で穏便に覇権交代を進めることは不可能に近いものがあろう。
移行期間の短かさは衝撃の強さを意味する。
サブプライムショックも欧州債務危機もこれから来る本震の前兆でしかないのかもしれない。
次に来るべき覇権は国家であってはならない、つまり地球政府という視点にならなければいけない。
しかしそのような事が起こる為には、地球規模の激震が必要になるかもしれない。
全ては為政者の想像力にかかっているといえる。
サブプライム程度の揺らぎでは金融機関のあり方さえ変えられなかったのであるし、ギリシャ程度の揺らぎではEUのあり方さえ変えられなかった。
楽観主義者のために申し添えてくと、「変えよう」という声はいつの時代にもあったが実際には何も変わらなかった。
本当に変わる時というのは、手遅れになる前に「変えるしか選択肢は残っていない」と気が付いた時のみである。
残念ながら現時点での為政者の中に「変えるしか選択肢は残っていない」と考えるものが存在するという情報は聞こえていない。
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