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ネコティアスの時事コラム

2007年11月10日

ネコティアス
プロ野球2007年日本シリーズ最終戦
−低落傾向を象徴する采配−
 

こ数年のプロ野球の低落傾向を象徴する采配が、中日ドラゴンズの53年ぶりの日本シリーズ優勝を決める試合でみられたのは大変残念なことであった。 もちろん8回まで完全試合を続けていた山井投手を9回のマウンドに上げなかった落合監督の決断のことである。 なぜこれが象徴的であるかという前に、プロスポーツとはどういうものかを考える必要がある。 プロスポーツは「娯楽」や「金儲け」や「宣伝広告の一手法」や「国威発揚の道具」や「勝たなくてはならない勝負事」の面をもつことは自明のことであるが、ただこれらだけではないとすれば以下の特徴を持つからである。

  1. プロスポーツは勝敗を争うもの
    勝敗を争うためには必ず決着をつけなくてはいけない。ゲームであるスポーツは実際の戦争と違い常にやり直しがきく(試合に負けたからといって命を奪われるわけでも、2度と試合ができないわけでもない)、むしろ繰り返し試合を行うことにより伝統の重みをまとい、記録が重要な位置を占めることと相まって文化の領域にまで到達することもできる。
    また、勝負をつけること(特に勝つこと)により感動(=カタルシス)を選手とファンが共有することができるわけである。
    つまり (ア)ゲーム性=勝負、 (イ)記録の重み、 (ウ)感動をもつものであるべきなのです。

  2. プロスポーツは優れた技と体力と精神を示すもの
    技とはその固有のスポーツにおける技術であり、体力とは技を支えるために鍛えられた体であり、精神とはルールに則る気持ちである。 そしてルールとは公正な(フェアな)審判を下すための目安であって、競技の進化とともに変化していくべきものである。

  3. プロスポーツとは管理者、リーグ、チーム、選手、OB、ファン、メディアの共同制作になるべきもの
    この共同制作が行われたときにのみ、プロスポーツとしての娯楽性と真剣味と経済性が実現できることから、 ギブアンドテイク(何かに貢献して、何かからサービスを受ける)は全ての参加者が行わなくてはいけないものといえる。

れまで [1]オリックスブルーウェーブと近鉄バッファローズの責任回避と縮小均衡を目的とした合併、 [2]何ももたらさず目的意識さえ立ち消えとなった古田選手会長が行った選手のストライキ、 [3]有力スター選手を金のためにMLBに売却(ポスティングシステム)をする一部球団、 [4]目先の収入のためだけに決定された変則プレーオフの導入、 [5]メディアのオリンピックやWBCなどの大会に対する偏重報道や地上波テレビ局のプロ野球放送からの撤退等々、ジリ貧のプロ野球であるが今回は生涯2度の三冠王を取った大打者であり中日ドラゴンズを強豪チームに変貌させた落合監督であるがゆえ落胆の度合いは大きかった。

結論を言えば、山井投手とファンからひいてはプロ野球から「記録の重み」と「最後まで勝負(完全試合)の決着をつけること」と「感動」を奪い去ってしまった事は大きい。 一つの記録がなくなり「今後いやでも疑問として語り継がれる」という記憶は残った。
そして、その後この件に関してプロ野球はどうあるべきかという議論が見当たらない事実こそ、プロ野球の低落傾向を象徴しているといえる。



以 上
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