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ネコティアスの時事コラム

2012年6月19日

ネコティアス
2012年6月16日は日本人の倫理性崩壊の日と
記憶される事となろう

 




 ついに日本人の不作為と事なかれ主義は臨界点に達した。  この日与党民主党は2つの大罪を犯した。
(1)自民党から政権奪取した際の公約を全て反故にし、官僚に言われるがままの消費増税という官僚組織温存のため以外には何ももたらさない腐臭のする法案を、政権与党に復帰する事だけを願う自民党と公明党というすでに国民に見限られた政党と組んで数の力で可決することを決定した。
(2)福島原発大事故の原因究明と反省が一切なされないままに、関西電力の大飯原発を産業界と日本の国民のためと称し、再稼働を決定した。

   この二つに共通する点を見ていくと、この国の国民の不作為と事なかれ主義が明確になる。 その共通点とは次のようになる。

(ア)
「今ここにある物事のありようがどこから来たのか?」という原因と結果という過去から現在を経て未来に向かう時間の流れを意識しないために、その場限りの刹那的な意見のみで物事が動いてしまう。  そのために物事が起因した原因について深く思いいたることはない。  そして過去を反省と進歩のための教材としないために同じことが繰り返される事になる。  繰り返される物事は全てをあるがままに受け止めることを日本人の死生観と信じ、原因究明をする行為は排他的に糾弾される。

(イ)
未来についての「こうあるべき」という明確な指針を持たないために、現在の行為はその場において理由があればそれを受け入れる。

(ウ)
このような思考回路はあまりに隅々まで浸透しているために、政治家や官僚や企業家だけにとどまらず、ジャーナリストやアカデミックな現場までもが同様の思考回路を持つもので充満してる。

(エ)
このような刹那的死生観を持つ市民が国民の大多数を占めるために、民主主義の根幹をなす多数決による政治参加の原則でさえも社会の規範とはなりえない。  このようなありように反対するものもわずかに存在するが、そのものたちは社会にとっては異端でしかなく論理的意見は論理性を否定する者たちにとっては意味をなさないために常に社会から無視される運命にあり、その無力感からの帰結としてそれら反論は消えていくことになる。

 唯一残っていた原因を振りかえることにより現実を理解し、将来に明るい希望を見出すために行動するという意思はまたしても踏みにじられた訳である。 

 この国の近い将来のありようは、今以上に国富を吸いつくそうとする官僚の支配する国家である。

 そしてその行きつく先は再び崩壊以外にはない。

 日本国民は6月16日にそれを座して見過ごすことを選択した。

 日本の太平洋戦争は日本人自身の不作為と事なかれ主義が引き起こし、核エネルギーの解放を2度受けて要約終局を迎えた。  それを起点として経済活動中心主義で復活したかに見えた戦後の日本もまた核エネルギーの解放を1度受けた。  またしても2度目の核エネルギーの解放を見なくては終局を迎えることはできないのであろうか。   過去の反省から未来を切り開こうとしないものには同じ災害が降りかかることは運命であるのかもしれない。  6月16日の決定によりその可能性は必然性に転換した。そして次の終焉を迎えるときに米国の役割を果たすものは中国ということになるであろう。

 これだけの重大な事件をマスコミはたわいもないニュースの一つであるかのように何事もなさげに扱うのみであり、国民も何事もなかったように淡々とそのニュースを聞くのみである。   核爆弾による犠牲さえもがたんにあるがままに受け入れる日本人にとっては当然のことであろうよ。   日本人が唯一怒りにかられる事は、その死生観と事なかれ主義を面と向かって非難された時のみである。

以 上
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