(1) 自身より若い部下を採用したがる心理は?
プラス面
- 給与が自分より低い
- 命令を下す際に違和感がない
- 自分より経験が少ないために自分を追い抜けない
- 自分が常に優越している感覚を感じていられる
- 部下が良い成績を残せば部下を育てたとして部下育成能力を評価される
マイナス面
- 自分より給与が低いので自分より成績が悪い
- 部下の成績は命令した自分の責任である
- 自分が楽をしようとすればするほど部下は自分より成長速度が速くなる
- 自分が常に優越しているかどうか疑問が大きくなる
- 業績が急上昇する可能性は低い
- 部下が良い成績を残せば年収の上昇とポジションの上昇を要求されるか転職されるか追い落とされる
(2) 自身より年上の部下を採用した場合に何が起こる?
プラス面
- 給与が自分より高いために自分にはできないことでも要求できる
- 自分より経験が多いために多くを学べる
- 命令を下す必要はなく部下としてやるべきことをやってもらうだけでよい
- 自分はマネジメントとして評価し部下はプレーヤーとして評価すれば優越感を持つ要素は消える
- 業績が急上昇する可能性がある
- 部下が良い成績を残してもそもそも年収が高いために年収の上昇とポジションの上昇を要求されるか転職されるか追い落とされる可能性は高くない。
マイナス面
- 自身の能力が比較低位であれば劣等感にさいなまれる
- 部下の成績が上がらなければ自分が責任を取る羽目陥る
- 高いコストの部下を採用することはそもそもコストの急激な上昇要因であるとともに自身の能力のなさを自白するようなものである為に危険がある。
■ | そもそも一つの商品の需要が短く組織が常に生まれては消えていく運命にある高級金融業界においては、 若手を育てるなどという事は全くの無駄である。 |
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■ | また、経験の少ない若手はパイプラインに仕事が連なっており下働きが多数必要な場合にのみ一定の役に立つが、 一つ一つを手作業で行っていく場合においては戦力とはならない。 踏み込んで言えばその若手を雇った上司の能率が落ちるだけで1+1=1.67にもならず、1+1=1がせいぜいである。 これは上司に若手を育てているという言い訳を与えてしまう事が原因である。 |
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■ | 上記の(1)、(2)を比べてみると業績が上がるのは間違いなく(2)である。 もちろん実績と能力と気力のないシニアを採用してしまえばこの限りではないが。 |
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■ | 上記の(1)の場合はパイプラインに仕事が詰まっている場合以外は業績の上昇は期待できない。 そしてパイプラインに仕事が詰まっているのであれば必要な部分のみを行う人材として最も適任なものは派遣社員であろう。 |
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■ | ここで視点を変えてみることにしよう。 (2)のケースのリスクは |
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(ア) 仕事が期待外れであった場合の処置、
(イ) 年収が高額である事、 (ウ) 自身を追い越す可能性がある事 |
| の3点であった。 これらを回避するためには、 |
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(a)期限の定めのある雇用形態にする、
(b)業務内容を一本化することにより年収を低く抑える (インセンティブ部分の比率を高めベースを押さえる給与形態にする)、
(c)自身よりかなり年齢が高い人材を採用する |
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| という事が考えられる。 |
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これに最も適合するのが50歳を超えた人材の登用である。
この世代は正社員として高級金融機関に残留することが困難なことを自覚しており、一般的に言って決められた事(経験してきた事)はできるが新しいチャレンジはできないそしてその事によりマネジメント職には不向きで年収の期待値も低い。 しかしながら明確な指示さえ与える事ができれば経験のない若手よりもはるかに業績の期待値は高い。 また1年契約などの雇用形態にすれば成績が不十分な人材は契約期間終了後に問題なく再雇用を拒否できる。 一般的には若手正社員と同等の人件費かインセンティブを手厚くすれば若手よりもはるかに安い戦力である。 このような人材は単独ではなく複数名雇用して業績を競わせることが能力を引き出しやすいと思われる
■ ここで否定的な要素として良く出るのが次のポイントである。
(A) チームリーダーが年上を使いにくいと感じる
(B) これまでに採用したケースではうまくいかなかった。
上記(A)については、日本の社会においてこれまで行われてきていない以上経験がないのは当然であるが、「やった事がない」・「やりにくい」などという漠然とした理由でそれを避けるチームリーダーこそミスキャストである可能性が高いのかもしれない。 少なくともチャレンジする対応のチームリーダーではないという事は確かである。
上記(B)については、本当に明確な目標とインセンティブとを与えて行ってみたのであろうか。 もし目標が不明確で自身で考えだすようなものであれば、それは50歳を過ぎた人材には本来無理であると言わざるを得ない。 不明確な目標を自身の才覚で克服できるのであれば、どこかの組織のマネジメントとして活躍しているはずである。個々でもっとも重要な事は「これこれの商品をどこそこの顧客に販売するか、その為のルートをこれまでのネットワークを利用して開拓する」とか「どこそこの顧客だけをメンテナンスする事」というような極めて明確な指示を与える事ができれば十分業績を残すはずである。もしそれが困難であるというのであれば、そもそも採用側が明確な目的を持っていないことになり採用活動の前に戦略を再構築すべきであろう。
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